Journals

フリッジのナレッジVol.1:
原稿は、一度書いてからが始まりである。(羽賀亜弥香)

書く時間よりも、書き直す時間。

フリッジでは、初稿を形にした後の工程を大切にしています。イメージ的には、初稿段階ではまだ折り返し地点。そこから、なるべく客観的な目をもって原稿を見直し、磨きをかけていく。校正ではなく、しつこい推敲です。これを重ねて、やっと誰かに読んでもらえる文章に仕上がります。

つまるところ原稿の執筆を、大きく二段階(書く/磨く)で行っているわけです。プロの書き手であっても、一発で優れた文章を書くことはなかなかできません。一発で完成させようなどとは考えず、段階的にクオリティを高める作戦です。しつこい推敲という試行錯誤は、ほとんどの書きものに不可欠なプロセスです。

書いた本人には見えないものがある。

夢中で執筆しているとき、書き手はどうしても自分の視点に引きずられます。ボス曰く「9割以上のライターが、完全原稿は単独では書けない」とのこと。どれだけ慎重に書いたつもりでも、書いた本人には見えないものがある。書き手には当然のことでも、読み手には説明が不十分ということも。そのため、あえて原稿から離れることで客観的な視点を取り戻します(原稿を寝かせる、ともいいます)。書く、寝かせる、磨く。その工程を何度か繰り返すなかでは、容赦なく原稿に手を入れながらクオリティアップに励みます。ポイントは自分が書いたものを愛さないこと。他人になりきって手を入れます。とどめは社内レビューです。書いた本人以外の目を交えてチェックをかけ、さらに磨きを重ねた上で提出へ。執筆にかける時間と比べ、磨きにより多くの時間をかけることも珍しくありません。

出版の世界では、ライターが書いた文章を担当編集者が確認(リライト)し、デスクが確認し、編集長がOKを出すといった複数人チェックが一般的です。私たちはその方法をそっくり持ち込むことで、「独りよがりな原稿になっていないか」「読んだ人が何を感じるか」を書き手以外の視点からも確認します。この手法を採り入れているのは当社代表が出版業界でキャリアをスタートしていることとも無関係ではありません。推敲、校正にしっかり時間をかけることで、クライアントチェックの手間を減らそう。代表は常々そう意気込んでいます。

言わないことで、より伝わる文章に。

「何を伝えるのか(内容)」は、「どう伝えるか(書き方)」以上に大切です。内容のもの足りなさを書き方で補うといった側面もありますし、そこはまさにコピーライターの腕の見せどころですが、逆にいうと読み手にとってパワフルな情報があれば書き方は二の次です。

むしろ問題なのは、多くの書き手が「あれも伝えたい、これも伝えたい」と欲張ること。多くの場合、それは逆効果です。限られた字数の中で何を伝えるかを厳選することで伝達度を高めるのがセオリーです。「何を」を絞りこむ際にも、有効なのが複数人でのチェック体制。書いた本人は、書いたものを消すことに抵抗がありますが、他人はためらいなく消せます。主題を際立たせる引き算は、この手で容易になります。

書いて終わりにしない。一人で完結させない。伝えることを欲張らない。特別なことではなく、このプロセスをきちんと踏めるかどうかが原稿の仕上がりを決めます。経験豊富なプロからすれば当たり前の話ですが、基本にどこまでも忠実になれるか、といわれると意外と難しい。特に後工程は、しつこさが肝。ここで手を抜かないためにも十分なお時間をいただきますが、そこはどうかご容赦ください。

さて、これから3回目の社内チェックに提出します。今回は、テーマがテーマなだけに苦戦しています。そろそろOKが出るでしょうか。みなさん、どうか祈っていてください(ドキドキ)。

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